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Brief13 「細い首」:男の首は五角形


今回は、本当は「髪」のことについて書こうかと思っていました。
「髪は女の命」というように、「きれいな髪」が重要な「女の記号」であることはまちがいありません。だから、ヘアスタイルなどについては、書きたいことがいくつもあります。でも、この点について、私はちょっと書きにくかったりもするのです。

アマチュア女装者としては、明らかな「反則」を犯しているからです。

私は、自毛を背中の真ん中あたりまで伸ばしています。
仕事柄、それが許される(というか、多少個性的に見えた方がトク)ということもあり、ここ5年来ロン毛です。女装するようになった1年半前からは、ときどき、前髪も目のあたりで切りそろえたりします。
だから、アマチュア女装者がふつうに使う、ウィッグの経験が一度もないのです。
チャイナドレスを着た時などのいわゆる「おだんご」をどうつくるかとか、ヘアピンやバレッタはどんなものを選んでどう使うかとか、そういう知識はいくつも仕入れたのですが、それらはみんな自毛用で、ウィッグの場合どうやったらいいのかというのがよくわかりません。
だから、毛髪についてはあまりお役に立つアドバイスはできそうもないのです。

そこで、ここでは、ウィッグを選んだりスタイリングする際にも役立つはずの、「髪」と「首」の関係について話したいと思います。

「細くしなやかな首」というのもまた、Brief2に書いた「薄い肩」とつながる重要な「女の記号」です。
男性の場合、だいたいにおいて2割増し女性より首が太く見えます。
ただ、この首の場合も、単純に女性より直径がが太いのかというと、けっしてそうではありません。よく観察してみると、男と女では、首の形そのものがちがうのです。
この図を見てください。
これは、前を向いた状態で立った人間の、頭部と首を真上からの透視図として描いたものです。いちばん外側のグレーの線が頭部だとすると、男の首(グリーンの線)と女の首(ピンクの線)は、だいたいこんな感じで形がちがうはずです。女の首が断面で言えばきれいな楕円に近い形をしているのに対し、男の首は五角形に近いのです。

子供の頃は、男も女も首の太さや形はそんなに変わりません。それが、思春期以降、男の方が、角が突きだしてくるような形で太くなっていくわけです。
右図の(1)の部分は、いわゆる喉仏です。変声期とともに気管の途中にある声帯が前後方向に伸び、前に出っ張ってきます。この喉仏の出方は人によりさまざまで、目立つ人もいれば目立たない人もいます。私はわりと目立たない方ですが、だからといって前に出ている量が少ないわけでなく、喉仏以外の(つまり喉仏の上下にある)気管も太いからに過ぎません。そのぶん、首はより太く見えます。逆に、気管が細くこの部分が出ていない男性は、喉仏だけがとがったように突出します。これは、どちらがいいとも言えないでしょう。
(2)は、鎖骨あたりにつながっている筋肉で、男の場合、年頃になるとここが横方向に張ってきます。下あごを奥に引いて力を入れると、エラのようになる部分です。
(3)は、肩の筋肉とつながって張ってくる部分で、猫背になると男っぽさが目立つのは、ここがさらに太く見えるからでもあります。

では、こういう形のちがいをふまえて、次に、各アングルから男の首と女の首の太さがどう見えるかを考えてみましょう。

まず、真正面から見た時です。この場合は、男女の首の太さは、あまり変わらなく見えます。本当のことを言えば、この図のとおりではなく、真正面から見ても実寸としては男の方が太いのですが、そのぶん、肩や頭も大きいので、それらをふくめた比率としては、男女に差がなく見えるはずです。
つまり、真正面(または真後ろ)から見た時が、いちばん女の記号である「細い首」に近づいているわけです。

これが、アングルが30°ほどずれると、肩側の(3)が見えてきます。ただこの場合は、その対角が、通常の状態では出っ張りの少ない(2)の角なので、まだ、大きなちがいは出ません。つまり、30°あたりまでは、まだ、さほど太さは目立ちません。

しかし、45°くらいのアングルまで来ると、(3)の対角が、出っ張りの大きい(1)の部分に代わり、女性とは明らかな差が出てきます。だいたい、この45°から真横までが、首がいちばん太く見えます。

つまり、首のことだけ考えるのなら、ウエストなどとは逆に、横よりも前から見せた方がいいわけです。
ここでちょっと注意が必要なのは、(2)の部分です。上の文章は、体と顔が同じ方向を向いていることを想定して書いていますが、たとえばカメラの方に首をひねると(右側いちばん下の写真がそうなのですが)、(2)の筋肉が(1)よりもさらに前に張り出してきます。つまり、そういう点からも、横側からのアングルは男の記号である首の太さが出やすいのです。

かしげたりひねったり、伸ばしたり縮めたり、首は人間の体の中でも動きの自由度が高い部分です。そのぶん、ちょっとしたことで筋肉や骨がさまざまに影響し、太く見えたり細く見えたりします。上の考え方を参考に、鏡の前などで、どんなポーズが首がいちばん細く見えるのか、試してみてください。

いずれにしても、女の記号を表現するのに、首はやっかいな部位です。で、そこを救ってくれるのが、やはり強力な女の記号である「髪の毛」なのです。

ウィッグにしろ自毛にしろ、長い髪をおろしてさえいれば、上記の(3)の部分と例の「肩の厚み」を隠してくれます。これは、強力な味方になります。
単に「女らしいヘアスタイル」というだけでなく、そのことを考えて、ウィッグを選択した方がいいと思います。
よく、ショートカットのすっきりした女性にあこがれて、短い髪のままで女装したり、あるいは、ショートボブのウィグを選んだりという方がいらっしゃいますが、どうしても、太い首や厚い肩が目立ってしまいます。
そういうヘアスタイルにするなら、ネックの高い服やスカーフなどで首筋を隠す工夫が必要でしょう。

また、ロングヘアをサイドやバックでとめて耳を出すような場合も、髪を完全に背中にまわしてしまうより、多少、体の前に残すようにした方が首の太さは確実に隠れます。

あとひとつ、女装サイトの写真などを見ていていつも気になるのは、ウイッグの色です。
「きれいな黒髪」こそ、日本女性の美しさの象徴という感覚でもあるのでしょうか。黒い髪を選んでいる方が多いようです。
でも、これは、(ウイッグだからこそなおさら)考えものです。
ウイッグの弱点は、なんと言ってもおでこの生え際でしょう。自毛のようにそこを見せるわけにいきませんから、どうしても前髪をたらすことになります。
で、この時、黒い髪だと重く見えて、おでこに貼りついているような感じになるようです。たぶん、多少なりとも軽い色を選んだ方が、この弱点は防げると思います。

今や、たいていの若い女性は髪を染めているのです。
せっかく、自毛でなくウイッグなんだから、もっと冒険した方がいいのでは‥‥。


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