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Brief16 「お化粧」:メークのコツは「勉強と試行錯誤」


 さて、いよいよメークです。
 しかし、メークについては、私は「これがコツだ」というようなことを明確に話せなかったりします。
 実際の話、メークのマニュアル本を何冊か読んで、そこに書いてあるとおりに試行錯誤しながらやっただです。
 そしたら、できちゃった‥‥ということなのです。

 ‥‥まあまあ、怒らないでください。
 ここで、上の言葉をよく吟味してほしいと思います。
 第一に、私は、けっしてただ無闇にやったわけではなくて、その前に「マニュアル本を何冊か読んで」います。はじめてメークする時は、その中でいちばん実践的だと思った本を見ながら作業を進めました。そうした「勉強」はやはり欠かせません。
 第二に、それでも、最初からそんなにうまくいったわけではなくて、「試行錯誤しながら」1時間半くらいかけて顔をつくっていきました。(何日もつづけてやった最近の女装では、さすがに慣れて、そんなにはかからなくなりました。それでも、毎日30分以上は鏡の前に座っていました。)

 ということで、では始めに、メークの「お勉強」について。
 女性向きのメーク入門的なマニュアル本は、大きめの書店に行けば、いつでもたいてい何冊かはあります。(女性雑誌の別冊として出ていることも多いので、雑誌棚も見てください。)できれば、それを買ってきてよく研究してください。

 そんなものを買うのは恥ずかしい、家に持って帰れないというのなら、インターネット上にもそんなホームページはたくさんあります。中には「女装」向きに限定して解説したページもありますから、それに目を通してください。

 たとえば、ゆうりんさんという方が書いている「ゆうりんの独善的女装講座」というページには、何章かにわたり、化粧品とメークについてわかりやすく解説されています。他にも、体験的なメークの解説をしていらっしゃる方は、たくさんいます。
 きわめつけは、式部さんとおっしゃるプロのメーキャップアーチストが、トランスな人のためのメーク相談という形で開設しているBBS、「メーキャップQ&A」です。ここで質問すれば、基礎化粧からメーク、ヘアスタイルまで、プロとしての懇切丁寧な答えが得られます。また、このサイトの「アーカイブ」には、過去の膨大なQ&Aも保存されていますから、それをこまめに読めば、あなたは並みの女性よりずっとメークに詳しくなれるはずです。

 そして、「勉強」の次には「試行錯誤」です。
 これは、「とにかくやってみなさい」ということではありますが、じつは、それだけではないもっと深い意味があります。

 たぶん、上に書いたようなメークの解説本、あるいはホームページをきちんと読めば読むほど、あなたは混乱するはずです。Aの本とBの本では、ぜんぜん違うことが書いてあったりするのです。時には、まったく逆のことが書かれていたりもします。女性向けのマニュアルでもそうですが、女装者向けに書かれたホームページでもそうです。
 たとえば、わかりやすい話をすれば、女装者にとって大問題である「ヒゲ剃り」。
 あるページには、「メーク直前の深剃りは、化粧品によって肌を傷めるからぜったいに禁物」と書かれています。他の方のページには「長年のヒゲ剃りで鍛えられてきた男性の肌は女性よりずっと強いのだから、かまわず深剃りしてしまいなさい」と書いてあったりします。
 その結果、「いったいどっちなんだ?」とあなたは悩むはずです。

 じつは、こういった類のノウハウは、たいていどれもまちがいではないのです。
 けっきょくは、ひとりひとりの肌の状態や顔の造形が異なるので(もっと言えば、手先の器用さだって人それぞれなので)、これがぜったいに正しいとは言い切れないということなのです。
(メークに関するこうした「諸説紛々」状態は、それに振りまわされてきた女性にとっては、いわば「周知の事実」なのですが、「ウブ」な女装者はけっこう戸惑うものです。)

 私が最初に「これがコツだと明確に話せない」と書いたのには、そんな事情もあります。私の経験が万人に通用するわけではないのです。

 そうした意味からも、最終的には、あなた自身が、あなたの顔を素材にして、あれこれ「試行錯誤」し、自分に合う方法を見つけるしかありません。
 で、けっきょく、上手なメークのコツは、「勉強と試行錯誤」ということになるわけです。

 ただ、ここで改めて、私は声を大にして言っておきたいのですが、「女装して女に見せる」ということ全体の中で、メークの占める比重は、じつはそんなに大きいわけではありません。
 「女装」というとすぐに「女物の服」と「お化粧」を思い浮かべ、それさえうまくいけばそれでOKと考えがちですが、それは大きな間違いです。(その2つは、まさに「女になりたい」という心情を具現化した「記号」ですから、気持ちとしてはわかるのですが。)

 私は女装写真を撮るという自分の経験をもとに、この「エッセイ」を「思いつく順」に書いています。で、「メークの順番」が来たのは、じつはこのあたりだったのです。少なくとも「女に見えるように写真を撮る」ということでいえば、メークより、ここまでに書いてきたようなことの方が重要だと私は感じています。
 いくらきれいにメークしたところで、姿勢や体型や仕草が「男の記号」丸出しなら、そのメークも台無しです。また、いくらアイメークに凝ったところで、かんじんの目が濁っているようでは、どうしようもありません。
 写真ではなく女装外出するにしても、全体が「男の記号」でおおわれているのにお化粧だけバッチリというのでは、かえって気味悪いだけでしょう。

 勘違いしないでください。
 メークはけっして、女になる魔法ではありません。

 ‥‥と、いきなり辛口の「メーク批判」からはじめてしまいましたが、とはいえ、「お化粧」が強力な「女の記号」であることはまちがいありません。


私が女装する時使っているコスメ類

 次回からは、上に書いたマニュアル本やホームページとできるだけかぶらないようにしながら、メークを通して個々のパーツの「女の記号」をどう表していくかを、また、男がするメークだからこそのトラブルとその解決方法を書いていくことにします。


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