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Brief17 「形よい眉」:少々のカットはばれない、たぶん。


 前ページで、メークのコツは「勉強と試行錯誤」と書きましたが、だからといって、あんまりマジメにとらえないでください。
 やはり前に書いたように、メークの方法や手順については、諸説紛々で、しかもそれが、どれも、いかにももっともらしく語られていたりするものです。それをいちいち真剣にとらえていたら、きりがないのです。

 たとえば、あるマニュアル本には――
「ペンシル式のアイライナーでアイラインを引く時は、目がしらから目じり方向にではなく、目じりから目がしらに向かって引くようにしましょう」
 ――と書かれていました。
 で、その理由はというと――
「目がしら側から引くと、まぶたの皮膚がよれて、きれいな線が引けません」
 ――ということでした。
 だけど‥‥
 私は両方やってみましたが、実際、さほどのちがいがあるわけではありません。人間のまともな感覚としては、目がしらからの方がずっと引きやすい気もします。
 こういうどっちでもいいようなことに真剣にこだわるのは、きっと、よほどの「メークオタク」なのでしょう。

 どのみち、女装することに「偉大な目的」なんてあるわけじゃないのだから(それは、女性のオシャレだって本質的には同じだと思いますが)、メークなんて、そんなに真剣にならずに、もっと楽しんでしまえばいいのです。「試行錯誤を楽しむ」ゆとりがほしいと思います。気楽にいきましょう。

 で‥‥、たとえば私のメークの手順というのは、だいたい次のようなものです。



(1)ベースメーク(メーキャップベース・コーンシーラ・ファンデーションなど)
         ↓
(2)アイメーク(アイライン・マスカラ<またはつけまつげ>・アイシャドー・アイブローなど)
         ↓
(3)仕上げメーク(チーク・パウダー・リップなど)

 このうち、(1)(2)(3)の順が入れ替わることはないですし、メーキャップベースだけは当然いちばん最初にやりますが、各段階の中身の順番は、その時の気分によって、かなり適当です。面倒くさくてとばしてしまうようなことも、けっこうあります。
 たぶん、本物の女性のメークだって(それが「日常」だからこそなおさら)そんなものでしょう。

 とはいうものの、てきとうに話していてもらちが明かないので、ここから先は、だいたい、この3段階に沿って話を進めます。

 しかし、その前に、(特に男性の場合は)やっておかなければならないことがあります。
 「顔の毛」の処理です。
 顔の毛と言えば、眉毛、まつげ、ヒゲ、それにあとは‥‥鼻毛でしょうか?
 鼻毛の処理は、男の時でも切ったり抜いたりはしているでしょうし、まつげについてはアイメークのところで書きますので、まず、眉毛とヒゲから話を始めましょう。

 「女の記号」としての眉毛といえば「細くて形よい弓形の眉」ということになるでしょうか?
 強い記号である目のそばにあるだけに、眉は顔全体を印象づける重要な記号でもあります。

 さて、男の眉は女の眉にくらべて、全体に濃くて太く、形も弓形ではなく、直線的です。
 ただ、これも、よく観察してみると、単純に生え方が「濃くて太くて直線的」というのではありません。

 第一のちがいとしては、毛そのものが太いということです。
 女の眉が細くてしなやかな毛でできているのに対し、男の場合は、どちらかと言えば「剛毛」だったりします。それが「濃さ」の理由です。

 第二のちがいは、毛の長さ。これは年をとってくるとなおさらなのですが、眉の毛の長さが不統一になってきます。同じ長さでそろわずに、中に、長くなったまま抜け落ちない毛が現れてくるのです。特に男の場合、この傾向が強いようです。

 第三のちがいは、生えぎわ。「男の眉は直線的」と書きましたが、じつは、生えぎわだけを見るなら、男の方がずっとあいまいな輪郭をしています。女性は、日常的に形を整え、さらに描いているせいもあるでしょうが、ずっと輪郭がはっきりしているのです。

 眉を「女の記号」として見せるには、こうしたちがいをクリアしなくてはなりません。

 しかし、これを化粧品だけでやろうとすると、かなり無理があります。
 「眉つぶし」という、色の濃いスティック式ファンデーションのような化粧品があって、それでいったん眉を消し去ってから新たに描くという、舞台メークから来た方法はありますが、やはりナチュラルメークという感じにはなりません。写真を撮るような場合も、紗をかければ別ですが、ちょっとアップにすると、肌色に塗られた本来の毛が写ったりします。

 で、私は、女装する前になると、眉の形を整えてしまいます。
 眉の形を変えるには、「抜く」「剃る」「切る」の3つの方法があります。
 日常的に女装しているというのなら、多くの女性たちがそうしているように抜くのがいちばんいいと思うのですが、面倒ですし、それに痛いので、そこまでの手間はかけていません。
 剃るのは、カミソリでやることになりますが、たとえ女性用の眉用シェーバーを使っても、きれいな形にするのはかなりむずかしそうです。
 それで、私は、眉ばさみを使って、じょきじょきカットしてしまいます。

 先の曲がった眉ばさみは、最近ではコンビニでも売っていますし、ギャツビーとかからは、男性向けの眉ばさみやブロウコームがセットになった製品も出ていますから、手に入れるのはさほどむずかしくないでしょう。

 しかし、そんなことをしてしまって、日常生活で人に気づかれたりしないものか、と、心配される方もいるでしょう。
 ところが(実際やってみてわかったのですが)、意外と他人は、眉の形は気にしないものです。(私はふだんメガネをかけていることもあるのでしょうが)眉が細くなったり太くなったりしているのに、日常生活でそのことを指摘されたことは、まったくありません。

 眉の形は、顔全体の印象に影響を与える記号ですが、もっと強い記号である目のそばにあるせいで、それ自体が強い主張をするパーツではありません。目といっしょになって、はじめてその印象が生きてくるものです。アイメークもしない男の目のままなら、全部剃りでもしないかぎりは、さほど強い違和感は与えないようです。
 最近の若い男の子は、カットなど眉の手入れをふつうのこととしてやっています。たぶん、多少のことはだいじょぶですから、思い切ってやってみてもいいのでは。
 もっとも、男性の中には、眉毛に、その全人格が表れているような人もいますから、そういう人はちょっと無理かもしれません。たとえば、村山元首相とか『こち亀』の両さんとか(なんというたとえだ!)。

 で、そんなふうにカットしておいて、ファンデーションを塗ったあと、アイメークの一環として、アイブロウペンシルで眉を描くわけですが、それもふくめて、「女の眉」のつくり方を話しておきましょう。

 原則は、緩やかな曲線を持ったはっきりした輪郭をつくること。
 そして、眉がしらから眉じりに向かって全体の長さの3分の2から4分の3くらいのところに「山」をつくり、そこから細くしながら、「登り」より急な傾斜で下方にさげます。眉がしらの始まりと、眉じりの終わりが同じくらいの高さになるつもりでやるとうまくいきます。
 眉がしらは、カットしたままではあいまいな輪郭のことが多いので、はっきりと描いた方がいいでしょう。
 眉じりも、カットだけではなかなかきれいな線が出ませんから、細く伸びた感じをいかに描き加えるかが重要です。

 もうひとつ(特にカットの段階で)大事なことは、全体の濃さを均等にするということです。そのため、単に形だけでなく、前に書いた「長い毛」を途中でカットし、毛の長さを揃えておくということも気をつけてください。剛毛をカバーするには、全体の量を少なくするしかありません。それがまた、長い毛が降りてきて輪郭を崩してしまうようなことも防ぎます。

 どの程度の太さにするか、また、どんな形にするか――つまり、眉がしら・真ん中あたり・山の部分のどこを太めにするか、あるいは同じくらいの太さにするか、輪郭をどの程度「丸く」するか‥‥などは、さまざまなやり方があるようです。
 要は、それぞれの顔の輪郭や目の形などと合わせて、いちばんいい形を(試行錯誤しながら)探っていくということで、これがベストとは言いにくいところだったりします。あなたが実際にやりながら研究してみてください。

 ある意味で、眉というのは、顔の中でいちばんむずかしい部分です。
 先にも書いたように、それ自体は強い主張をしないのに、顔全体のイメージをつくってしまうからです。
 それだけに、メークしていて、きれいな眉が描けた日は、自然に心が弾んできます。

 ‥‥ほら、だから言ったでしょ。メークは楽しむものだって。


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