(c)2001 Catear All Rights Reserved.
Brief11 「すらりとした脚」:足の大きさを味方につける法


 最初に、恥ずかしいことを2つ書いてしまいます。

 ひとつ目は、私の足のサイズ。
 私は通常、27pの靴を履いています。ふつうの靴屋で買える男物の最大のサイズです。つまり、「馬鹿のなんとか」というやつだったりします。
 私は、この足のサイズを、ずっと、女装する上で最大の弱点だと思っていました。(今回の女装でも、女物の27pというのは当然靴屋では買えないので、女装用品の通販店から、このサイズのパンプスをわざわざ取り寄せました。)

 もうひとつの恥ずかしいことというのは、脚の長さです。
 男姿の時、私は「脚が長い」などとは、ただの一度も言われたことがありません。まあ、みっともないほど短くはないにしても、最近の若者にくらべたらずっと脚の短い、いわゆる「日本人体型」をしているのです。

 ところがです。
 初めて女装し、その写真をホームページで公開してみた時、思わぬことが起こりました。
 多くの方が、ホームページを見た感想を送ってくださったのですが、そのほとんどにこう書いてあったのです。
「脚がすらりと長くて、きれいですね」
 そんなメールを見て、私は首をかしげてしまいました。
 女装したとたん、どうして急にそう言われるのか、最初、私自身にもよくわからなかったのです。
 で、自分の写真を見ながらよくよく考えてみて、やっとその理由に気がつきました。
「そうか、これは、足の大きさのおかげなんだ」と。

 女性の靴は、高いヒールのついたものがほとんどです。
 最初の時はサンダルだけでしたが、これにしても、ヒールは6〜7pあります。今回のパンプスに至っては、10p近いヒールがついています。
 ヒールがあることで、脚の前側から足の甲へつながる筋が伸び、見る側からはその区別がつきにくくなるわけです。真正面から見れば、どこまでが脚でどこからが足なのか判別はつきませんし、たとえ横から見たとしても、足は脚の延長として見えるでしょう。
 普段の脚の長さに27pの「大足」が加わる(もちろん27pがそのままプラスされるわけではありませんが)のですから、長く見えて当然です。
 その上、女性用の靴やサンダルは、デザイン的に足の横幅が細く見えるようにつくられているのですから、なおさらでしょう。

 そういう意味で、「足の大きさ」は、けっして女装の弱点にはなりません。
 うまく利用すれば、むしろ長所に転化することもできるわけです。

 そうするためには、やはり、まずだいいちに、高いヒールを履くということです。
 女装する方の中には、慣れないことと身長が高くなることを気にして、ハイヒールを敬遠する方も多いようですが、ヒールが「脚を長く見せる効果」は、「身長を高く見せる欠点」以上のものがあると、私は思います。
 特に写真を撮るだけなら、身長そのものの縮尺はわからないわけですから、身長全体に占める脚の長さの割合を重視した方がいいに決まっています。

 ヒールを履いて立つ場合は、バランスがとりにくく、つい前のめりになったり、膝を曲げたりしがちですが、膝を伸ばし、かつ、前ページまでに書いた姿勢をとれるよう心がけてください。これは、慣れるしかありません。
 なお、前ページで足の位置について、前側の足をカメラに向けて真っ直ぐにするのがよいと書いたのは、ここまで述べてきたように、その方がより脚が長く見えるからです。

 座りの場合は、膝と足先をそろえた上で、両足を左右どちらかにずらします。すると、自然に(ヒールで基点が高い分よけいに)脚の膝より下が傾いた美しい形ができるはずです。
 ただ、写真の場合に限ってですが、この時気をつけた方がいいのは、揃えた足先をカメラに近い位置に置いた方がいいということです。
 真正面から撮っている時は、足先を膝より後ろに引くのではなく、膝を伸ばし気味にして足を前側に出す。さらに、カメラを右に振っているのなら、脚の傾け方は、その右側に足先が来るようにする‥‥というように。
 フィルム式のカメラにしてもデジカメにしてもそうですが、一眼レフでもないかぎり、たいていのカメラは、若干広角気味につくられています。つまり、写真には、カメラの近くにあるものが肉眼以上に大きく見えるような空間のひずみがあるわけです。
 だから、足先をカメラに近づけた方が、確実に脚は長く映るということになるのです。

 ところで、実際に女装するまで、私は、自分の脚がどうしようもなく男っぽいものだと思っていました。でも、それはたぶんに体毛、つまりすね毛のせいでもあるのです。
 あなたも、すね毛を剃ってみると、ちょっと驚くと思います。
 男でも、脚の造形そのものは、思ったほどごつごつしていませんし、その上、ふだんズボンの中に隠れているので日にも焼けておらず、色白だったりします。
 そこにストッキングをはき、スカートをはいて、さらにヒールの高い靴を履けば、脚については、たいていの人が、容易に「女の記号」をまとうことができるはずです。
 むしろ男の方が、下半身に贅肉のつきやすい女性より、「きれいな脚」に見えたりするのです。

 ただ、今回、高いヒールのパンプスを履いて立ったり歩いたり座ったりしてみて、私は、女性のインチキさとたいへんさの両方が、よくわかった気がしました。
 女性は、高いヒールで、実体以上に脚をすらりと見せているわけです。これはもう、いわば詐欺みたいなものです。
 その一方で、バランスをとるにも、また体重を支えるにも、こんな不自然で苦しい靴を毎日履いていなければならないのだとしたら、これはもう、苦行以外のなにものでもありません。たしかにこの苦行をつづけていれば、すぐに外反母趾にもなるでしょう。

 今、私たちの社会が標準的に持っている「女の記号」や「女らしさ」の観念は、じつはかなり不自然なものなのだという反省をも込めて、私には、女性というものが、またひとつわかった気がしました。


次を読む もどる

ご感想・ご質問などは→柴野まりえのBBSページ

Trans'繧ケ繝医シ繝ェ繝シ繧ケ繧ソ繝繝繧キ繧ケ繝繝繧ュ繝」繝ゥ繧ッ繧ソ繝シシ「シ「シウLink
螂ウ陬繝ャ繝繧ケ繝ウShop縺雁撫縺蜷医o縺

(c)2001 Catear All Rights Reserved.
縺薙ョ繝壹シ繧ク縺ォ菴ソ逕ィ縺輔l縺ヲ縺繧狗判蜒上サ譁遶縺ョ辟。譁ュ霆「霈峨r遖√§縺セ縺吶

Trans' 縲懷ヵ縺ィ縺ゅ◆縺励ョ蠅逡檎キ壹
縺ッ縺倥a縺ォ
繝医Λ繝ウ繧ケ
繧イ繝シ繝邏ケ莉
繧ケ繝医シ繝ェ繝シ
繧ケ繧ソ繝繝
繧イ繝シ繝繧キ繧ケ繝繝
繧ュ繝」繝ゥ繧ッ繧ソ繝シ
繧ウ繝溘Η繝九ユ繧」繝シ
謗イ遉コ譚ソ
螂ウ陬繝ャ繝繧ケ繝ウ
繧キ繝ァ繝繝
縺碑ウシ蜈・
繝ヲ繝シ繧カ繝シ繧オ繝昴シ繝
縺雁撫縺蜷医o縺
髢狗匱蜈
繧ォ繝繧」繧「
(c)2001 Catear