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Brief7 「細い腕」:手のひらの向き、ひじの向き


 女装した自分の体を見て、いやになるのは、なんと言っても腕です。
 特に二の腕の太さ。この上腕部の筋肉というのは、年とともにごつくなってくるようで、20代前半のうちはまだいいのですが、30代を越えると、男と女で明らかなちがいが出てきます。ただ太いだけでなく、複雑に方向の違う筋肉が浮き出し、ごつごつした感じになってくるのです。その上、腕の背中側には、だぶだぶとした贅肉までついてきます。
 これはもう、ごまかしようがありません。特に私のように、肩を出す服が好きだったりすると、女性の記号である「細い腕」とのちがいに、自分ながらうんざりしてしまいます。

 この部分は、けっきょく、「なるべく隠す」しかないようです。背中側で腕を組んで、両腕全体を後ろにまわしてしまうとか‥‥。女装写真に、このスタイルが多いのは、たぶんそのためでしょう。ただし、前に書いたように、猫背でこれをやっても、二の腕が目立つだけで効果はありません。背中を反らした上ですれば、体全体も細身に見えます。

 腕を前に出す場合は、二の腕については、できるだけ筋肉を盛り上げないようにするくらいしか、手はありません。
 ただ、「腕の太さ」ということでは、この二の腕だけではなく、もうひとつ重要な要素があります。「ひじ」です。正確に言えば、ひじのすぐ下あたりの筋肉のつき方です。ここのつくりが、男と女で大きくちがうのです。

 ちょっと、手のひらを上に向けた状態で、腕を真っ直ぐ前に突きだしてみてください。(もし長袖を着ているなら、腕をまくってね。)
 この状態の男の腕というのは、ひじのあたりから先が急激に太くなっていると思います。その後、徐々に細まって手首へとつづくわけです。女性は、この部分が、これほど太くはなっていません。この下腕部の細さは、重要な女の記号です。

 ところで、その状態から腕をひねってみてください。右腕なら反時計回り、左腕なら時計回りにひねれるはずです。
 で、ひじの下のこの部分がさっきの位置から90°くらい回転したところで、もう一度そこを見てください。
 ほら、その部分が細くなって、手首の太さとさほど変わらなく見えるでしょう。
 つまり、男の場合は、ひじのすぐ下の下腕部が平べったく広がり、断面で言えば楕円形になっているわけです。女の場合は、ここまで広がらず、ずっと円柱に近い形です。
 この構造のちがいがわかれば、細く見せる方法はわかりますね。写真撮影ならカメラの側に、つまり人から見える側に、この楕円形の細い方のアングルを見せてやればいいという理屈です。

 しかし、ここで、気をつけなければならないことがあります。
 もう一度、さっきと同様に腕をひねってみてください。
 腕全体を同じようにひねっているつもりでも、この時の、ひじの部分の回転と手のひらの回転では、そのまわる角度が大きくちがいます。ひじの部分が90°強回転する間に、手のひらは、反転した上に外側まで向くでしょう。手は4分の3回転=270°回るはずです。
 つまり、人間の腕というのは、ひじから手首までの間で約180°ねじりが加えられる構造になっているのです。人間が「前足」を器用に使える動物だというのは、こんな構造に支えられているわけです。

 ということは、下腕部を細く見せようと腕をひねる時、(連動はしているにしても)単純に手のひらの向きだけで考えていてはいけないということです。
 具体的に、真正面から写真を撮る場合で試してみましょう。
 そんな場合、腕は下にたらしていることが多いでしょう。その状態だと、手のひらをカメラの側に向けた時、やはりひじの内側がカメラの方を向き、いちばん太く見えるアングルをになっています。
 で、そこから、腕をひねって、下腕部がいちばん細く見える位置に持って来る(ひじを90°まわす)と、手のひらは(180°まわり)後ろを向きます。これがベストのポジションです。
 腕を体に添えた状態でのスタンディングなら、ふつうやるように手のひらを脚の外腿につけるのでは、まだ太く見えます。もう少し腕をひねって、手の平を完全に後ろに向ける方がいいわけです。そんな形が不自然にならないようにするためには、もし壁にもたれるようなシチュエーションなら、手で壁を触ってしまうという方法がいいでしょう。

 カメラに対して真横を向いている時(つまり横から見られている時)は、これとちょうど逆になります。
 手のひらを体の後ろに向けている時が、腕はいちばん太く見えます。そして、前に向けている時が最も細く見えるわけです。
 こんなふうに手のひらを前に向けて立つのも、そのままでは不自然ですから、工夫が必要です。手首を甲側に曲げ、親指だけを立てて手を軽く握るようなやり方が、かわいらしさを演出できるでしょう。

 座って撮る時も考え方は同様です。手を膝に置くなら、手のひらは下に向けた方がいいでしょう。ただ、若干両手を内側(右腕は反時計回り、左は時計回り)にひねる方が、正面からは細く見えます。
 でも、そんな時、へたにひじを曲げていると、今度は上腕部の筋肉が目立つので、いっそのこと、思いっきり腕を伸ばし、両ひじをそらしてしまうくらいにした方がいい時もあります。もちろんこの場合も、それにつられて猫背にならないよう、注意してください。
 座って腕を脇にたらすなら、立っている時と同じように考えればいいでしょう。

 ここでは、正面と真横という話しかしませんでしたが、その間には、もちろんバリエーションがいろいろあります。ただ、いずれにしても、「細い腕」という女の記号を表現するなら、カメラに対するひじの向きということを考えればいいわけです。

 こういうのは、ふだんの身体感覚にはないことなので、意識していないとなかなかできません。カメラに対して「自分を少しでも細く見せたい」という気持ちが、なにより大切だったりします。
 そう思うことがまた、仕草に女の記号をつけ加えることにもなるのでしょう。


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