無造作にぽいぽいと脱ぎ捨てられた服の下から
爽真の身体が現れた。
　ううむ、若いな。

　肌は、きれいでなめらかだ。
　筋肉はそれほど目立たず、脂肪もない。
　全体的に線が細く、動作の生き生きとしたさま
が実にすがすがしい。

　なんてこった、俺が爽真に持った印象は――
　ぶっちゃけ美しいとさえ言えた。

　まだ男になりきっていない、かつ女でもない、
そんな中性的な美だ。

【爽真】
「く……ッ！」

　軽く舌打ちして、爽真の動きが止まる。
　そのまま制服を眺める爽真。

　爽真、そんなに悲壮な顔をするな。
　今のお前は、ぱんついっちょうなのだぞ。

　爽真は服を見たまま動こうとしない。
　女子の制服を纏うことにはさすがに抵抗がある
ようで、なかなか決意が出来ずにいるようだ。

【悠斗】
「どうした爽真、自分で着られないのか？
　なら、俺が着せてやろうか」

【爽真】
「や、やめろよッ！
　つーか見るなよッ！
　恥ずかしいだろッ！」

【悠斗】
「別に、恥ずかしいことなんてないだろ。
　男同士じゃないの。
　一緒に風呂にだって入っただろ」

【爽真】
「だ、だからッ！
　いつの話だよそりゃッ！」

【悠斗】
「ははは照れるな照れるな。
　にしても、爽真も成長したな。
　背も伸びた」

【爽真】
「当たり前だろ、縮んだら不気味だぜ。
　そんな高齢じゃ……っつーか、見るなよッ！」

【悠斗】
「いやいや、つい」

【爽真】
「ついじゃねェよッ！」

【悠斗】
「さあさあさあ、見られたくないんならさっさと
その制服を着るのだ爽真。
　お前の生き様を見せてくれよ」

【爽真】
「ああ、わかったよッ！」

　そして、爽真はついに意を決した。
　制服を被るように着ていく。

　途中で、服の着方にわからないところがあった
らしく、何度か手間取った。
　が、どうにか着衣を完了して――

【爽真】
「これでいいンだろッ!？」

　と、爽真はずいぶんとふくれっ面だ。

【悠斗】
「こらこら、その格好であぐらはやめなさい。
　はしたないぞ」

【爽真】
「別にいいだろッ！？
　着てやったンだから文句つけるなよッ！」

【悠斗】
「着てやった、っつってもなあ。
　お前が本番で失敗しないための着合わせだぞ。
　俺のために着たわけじゃなかろうに」

【爽真】
「バッ……違……っ！」

【爽真】
「そ、そんなんじゃねえよッ！」