【悠斗】
「そうだ、熱い、すごく熱いぞ。
絶対に親身な看病が必要だ。
やっぱり、親御さんに連絡しよう」
【玲】
「先生、それはダメです」
【悠斗】
「なんで!
本当にひどい熱だぞ」
【玲】
「ただの風邪です。
寝ていれば、治ります……」
【悠斗】
「こんな高熱じゃ、意識だってボーっとしちゃう
だろ?」
【悠斗】
「何か食べた方がいいし、頭も冷やしたほうがい
いんじゃないか。
そういうのは一人じゃ無理だ」
【玲】
「でも、迷惑をかけたくないんです……」
【悠斗】
「迷惑……っていうけどな。
子供の看病が迷惑なものか。
親御さんだってな、玲を放っとくほうがつらい
はずだぞ」
【玲】
「いえ、でも……」
……そんなに両親を呼びたくないのか。
【玲】
「今、僕のために呼んでしまうと、仕事の後片づ
けが遅れてしまいますから……
そうすると、この家に父と母が来るのが、来月
よりももっと遅くなるんです」
【玲】
「僕、それがいやだから……
わがままなんです」
なるほど、そういう理由か。
【悠斗】
「うん、わかった。
じゃあ、親御さんには連絡を入れない」
【玲】
「はい……ありがとうございます」
【悠斗】
「かわりに、俺が看てやろう」
【玲】
「え……?」